
1月30日、東京アメリカンクラブにて第35回ビジネス・アドバイザリー・ボード(BAB)ミーティングが開催され、米国研究製薬工業協会(PhRMA)の日本代表であるハンス・クレム氏に「日本の医療制度と経済に貢献するバイオ医薬品改革・エコシステムの復活」と題して講演いただきました。本イベントには、57名のビジネスリーダーならびに次世代リーダー代表として計7名のTOMODACHIアラムナイとインターンが参加しました。
本会は、米日カウンシル副会長のフレッド・カタヤマが司会を務め、米日カウンシル評議員会副会長の田中正明氏と元共同理事のキャシー・松井氏(MPower Partners)が、参加者への挨拶と米日カウンシルの活動を紹介しました。また、講演に先立ち、参加者を代表して米日カウンシル評議員の三毛 兼承氏(三菱UFJフィナンシャル・グループ)、藤原 裕久氏(東急グループ)、幹事 岩本 展枝氏の3名から自己紹介スピーチが行われ、ネットワーキングを促進しました。
講演の中で、クレム氏は、日本における急速な少子高齢化の進行と医療の重要性の増大に触れつつ、世界の医薬品業界における日本の研究開発のシェアの縮小傾向、及び国際的な投資の減少を指摘しました。一方で、米国におけるバイオ医薬品分野のイノベーション・エコシステムの構築に関して、特にマサチューセッツ州に本拠を構えるバイオ医薬品企業が、世界の医薬品パイプラインの7.2%を占めるという事例を示しました。この米国のエコシステムは、創薬と新薬への迅速なアクセスを可能にし、効果的で持続可能な医療システムの確立、投資や雇用の創出、さらには経済成長の促進といった多岐にわたるメリットを提供しています。この視点から、クレム氏は日本においても同様のエコシステムを構築すべきであると提唱しました。最後に、学術界と産業界の連携による生命科学戦略の策定、全ての利害関係者を交えた官民協議会の開催、加えてイノベーションとアクセス促進を目的とした薬価制度改革の実施により、日本は再び生命科学分野において国際的なリーダーシップを発揮できると聴衆に訴えかけました。
TOMODACHIアラムナイの山田美喜氏(TOMODACHI-Dow Women’s STEM Leadership and Research Program’24) は「プログラムの参加中に米国で行った研究は、日本でよく見られる区分化された構造とは異なり、学際的な議論を促進するオープンな研究室の環境で行われていた事に強い印象を受けました。クレム氏の見識は、研究者と産業界の関係を強化することが、日本における製薬イノベーションの発展に不可欠であるという私の信念をさらに確かなものにしました」と述べました。