米国大使館と米日カウンシルが共催で「メタン排出の削減を通じた二大課題:気候変動とエネルギー安全保障の解決」ラウンドテーブルを開催


3月14日、米日カウンシルと在日米国大使館の共催により、「メタン排出の削減を通じた二大課題:気候変動とエネルギー安全保障の解決」と題されたラウンドテーブルが開催されました。日米両政府、欧州委員会、企業、技術、業界団体、非営利団体のリーダー50人近くが集まり、有害なメタン排出を削減するための道筋を探りました。この2時間のラウンドテーブルでは、メタン排出を削減するための早期の行動が、ガス供給を増加させ、有害な温室効果ガス排出を削減するという可能性についてディスカッションが行われました。

ラウンドテーブルは、米日カウンシル「気候変動とサステナビリティイニシアチブ(CSI)」の一環として、ストラテジックパートナーであるアマゾンの支援を受け、行われました。

温室効果ガスの一つであるメタンは、一般的によく知られている二酸化炭素(CO2)と比べて見過ごされがちです。しかし、IEAによれば、メタンは現在の地球温度上昇の約30%を占めており、もっと注意する必要があります。化石燃料(石油、ガス、石炭)の使用や バイオマス(森林、サバンナ、農業廃棄物)が燃焼されたことにより、大気中のメタン濃度は産業革命前の約2.5倍となり、確実に上昇してきました。メタンは、二酸化炭素に比べ大気中での寿命が短い(二酸化炭素の数百年に比べ約12年)が、米国環境保護庁によると、「二酸化炭素の25倍以上の熱を大気中に閉じ込める力がある」とされ、大気中に存在している状態ではるかに多くのエネルギーを吸収しています。

S&Pグローバルは先日、天然ガス漏洩の抑制によるメタン削減は、排出量を削減するだけでなく、ガス供給の追加による市場のひっ迫緩和に役立ち、短期的には世界のガス供給に大きな影響を与え、エネルギー安全保障と気候変動に対する両方のソリューションとなると報告しました。これは、米国、欧州連合、日本をはじめとする多くの国々が、メタン排出対策に向けた近年の国際的なコミットメントやハイレベルな注意を喚起こし(2021年のCOP26における「グローバル・メタン・プレッジ(Global Methane Pledge)」の開始を含む)、緩和活動におけるいくつかの画期的な地域連携を背景にしたものです。

冒頭、ラーム・エマニュエル駐日米国大使が開会の辞を述べ、廃棄ガスの回収を含むメタン排出削減における日米共同行動の機会について強調しました。エマニュエル大使は、米国政府関係者、経済産業省(METI)、欧州委員会エネルギー総局とともに出席しました。また、日米の業界関係者、国際エネルギー機関(IEA)、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、S&Pグローバル、日本エネルギー経済研究所(IEEJ)の代表も参加しました。USJCアドバイザーの田辺靖雄がモデレーターを務め、チャタムハウスルールのもとでディスカッションは行われました。

日米の産業界代表は、メタン漏れを正確に定量化することの難しさを指摘し、現在進行中の研究・技術開発について説明しました。参加者は、化石燃料のサプライチェーンにおけるメタンの排出量について、国際的に合意された計測・報告・検証(MRV)の枠組みを共有するために、早期に協力する機会を持つことに同意をしました。さらに、メタン排出削減のため、日米両国の技術適用について協力する機会があることが認識されました。また、農業、廃棄物、エネルギーの各分野から排出されるメタンに対する横断的なアプローチについても議論されました。

このディスカッションは、日米の協力が温室効果ガス排出の削減とエネルギー安全保障の強化にとって重要であることを強調するものでした。日本が札幌で開催する気候・エネルギー・環境に関する7カ国(G7)閣僚会議を前に、良い機会となりました。

より詳細な情報について:

ラウンドテーブルのモデレーターであり、USJCアドバイザーの田辺靖雄氏は、ラウンドテーブルからヒントを得た分析「Japan should Lead Global Efforts to Reduce Methane Emissions」(日本語訳はこちら)を発表しました。

その他の資料は以下をご覧ください(英語):