日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラム

概要

日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラム(JASP)は、英語を話す日系三世、四世、五世、「新一世」、「新二世」(戦後の移住者)のほか、他民族の家系も併せ持つ日系人USJCのメンバーから構成されます。彼らは日本、ハワイ、カリフォルニア、米国本土の他の地域に暮らす英語ネイティブ、日本語ネイティブまたは両言語を流暢に話せるバイリンガルです。JASPは、受入れ校の教授の依頼を受けて、日本全国の大学生に英語または日本語でプレゼンテーションを実施しています。

JASPのプレゼンテーションはストーリーテリングの手法を採用しており、プレゼンテーションを通して学生が積極的に議論に参加する多くの機会が設けられています。ストーリーは、プレゼンター自身が歩んだ歴史そのものであり、どれも唯一無二のストーリーです。JASP は、より良い未来の創造に向けて過去と現在をつなぐことによって、日米関係の強化を目指しています。JASPは、感動的なストーリーを通じて、日本の大学生にグローバルな視点を身につけてもらうことが重要であると考えています。

目的と使命

JASP の目的: 日本の大学教授と協力して、大学生の多様性を理解するグローバルな思考を養います。

JASP の使命:日本の大学に通う学生に直接に語りかけ、活発な議論を通じて、日系アメリカ人の一市民や家族の感動的なストーリーを共有します。

ストーリー

学習院女子大学(東京)の大出隆教授のクラスで、米日カウンシルのメンバーで日系アメリカ人のスタン・コヤナギ氏が家族の歴史と自身のキャリアの軌跡を語ったところ、学生に大変好評で、これをきっかけにJASPの活動が開始されました。

日本の若者の多くは世界に触れる経験や、国際的な考え方を身につける機会が限られており、これが日本の未来に影響を及ぼすおそれもあることから、国際的な視点を育て日米関係を強化するために、JASPは2020年秋に試験的にストーリーテリング・プログラムを立ち上げました。その後2021~2022年度には、日本各地の35の大学で50回のプレゼンテーションが実施されました。新たな地域でさらに多くの学生にプレゼンテーションに参加してもらうため、プログラムの拡充を目指しています。

日系アメリカ人ストーリーテリングのテーマ

JASP のプレゼンターの多様性を反映して、プレゼンテーションでは次のようなテーマを取り扱っています。

  • 21世紀に「日本人」であることの意味を問い直す
  • 受容、共感、ちがいの尊重
  • 日系人と移民
  • 不屈の精神(七転び八起き)
  • 日米間の架け橋を築く
  • 視野を広げコンフォートゾーンから飛び出す体験
  • 起業家精神と夢を追い求めること
  • 自分の文化的アイデンティティを見つける
  • 女性のエンパワーメント
  • ハワイの日系アメリカ人の歴史
  • ヘリテージが土台になり、翼をくれる
  • どこにも属さない私の旅、自分を受け入れること
  • あなたの人生の映画
  • カミングアウト
  • 戦時中の日系アメリカ人の経験
  • 多様性、公平、包摂のビジネスにおける強み

今後もプログラムを拡充し、新たなタイトルをストーリーテリングのテーマに加えていく予定です。

プレゼンター

テーマの多様性と同様に、JASPのプレゼンターには次世代を担う若手リーダーやシニアエグゼクティブ、日系三世、四世、新一世、新二世、他民族の家系を併せ持つ日系人など多様な人々が含まれ、民間企業の人もいれば非営利団体の人もいます。居住地も東京、沖縄、ハワイ、米国本土と多岐にわたります。

プレゼンターの一部を、ここに紹介します。

ロイ・トミザワ

“天皇陛下に称えられ、米海軍に勤務:
20世紀初頭に激動のアメリカを生き抜いた日系一世の記録“

これは強制収容の話でも人種差別の話でもありません。20世紀初めから第二次大戦中までの時代の趨勢を描いた、福島出身の類まれな移民の物語です。ロイ・トミザワの祖父で日系三世の清は、米国に移住して数々の偉業を成し遂げました。戦前のサンフランシスコに日本YMCAの拠点を築き、日本語教師として米国に尽くし、戦後は日本人移民が米国に馴染めるよう支援しました。勇気を出して新たな世界へ飛び込み、静かに信念を貫く生き様を通じて、死後何十年も多くの人の人生に影響を与えた男性の物語に耳を傾けましょう。 

プレゼンテーションの概要とハイライト

  1. ニューヨークで三世として育つ:トミザワ家を訪ねて
  • 父もジャーナリストとして活躍

2. 20世紀初めの米国への移民の歴史的背景

  • 長子相続の制度と「世界の男」を目指した次男の野心
  • 一世だった祖父、冨沢清の背景:祖父も次男だった
  • グローバル化や技術・社会・保健動向が国際交流の活性化に影響

3. 清の米国への移住

  • 日本で洗礼を受けたのち、YMCAの指導者ジョン・R・モットと運命的な出会いを果たす
  • 1903年に米国にわたる
  • 妻フミとともにサンフランシスコのジャパンタウンで暮らす

4. 第二次大戦前後および戦中の清の米国での活動

  • 日本人排斥運動にもかかわらず、大恐慌時代の戦前にサンフランシスコに日本YMCAの拠点を作る
  • コロラド州ボルダーの海軍東洋語学校で日本語教師として米国に尽くす
  • 戦後は、他の日本人移民の米国への帰化を助ける

プレゼンターの略歴

ニューヨーク出身のロイ・トミザワは、30年以上にわたりアジアで働いてきました。メットライフ生命人材組織開発部のトップを務めるロイは、在日米国商工会議所の人事委員会、オリンピック・スポーツビジネス委員会の共同議長も務めています。フィラデルフィア郊外の地元紙『ガネット』の記者だった頃には、ペンシルバニア州東部の凶悪犯罪者用刑務所を取材して、ペンシルバニア州新聞社協会から調査報道部門で第2位に選出されました。著書に『1964:日本が最高に輝いた年 敗戦から奇跡の復興を遂げた日本を映し出す東京オリンピック』(文芸社、2020年)、Start Up and Stay Up in Thailand (Alpha Research, 1997)、Working with the Thais(共著、White Lotus Books, 1997)など。

ユミ・クラーク

“勇気ある旅、負けない心、生きる喜び”

日本からカリフォルニアに移住した一家は、ほどなくしてワイオミングの強制収容所へ送られました。収容中に祖母ががんのため死去し、収容所を出た後、父は陸軍諜報部に所属すると、家族は離散してしまいます。この家族の孫にあたるのがユミ・クラークです。 

三世/四世のユミが語るストーリーを通して、2つのアイデンティティを抱えて育った彼女の境遇や、「私は誰か」という問いが明らかになります。

プレゼンテーションの概要とハイライト

  1. 家族の背景: 日本と米国を行き来した3世代
  • カリフォルニアに移住した祖父母の物語
  • 祖父母と父はワイオミング州ハートマウンテンの強制収容所に送られる
  • 家族の離散― 祖母は収容所でがんのため死去、父は収監後に米陸軍諜報部に所属​​
  1. 私の人生の物語
  • 2つのアイデンティティ―ロサンゼルスで伝統的な日本人家庭に育つ
  • 「私は誰か」という疑問、どんな「レッテル」が相応しいか分からない
  • 日米の学校で学ぶなかで見つけた「私の声」
  1. メッセージ: 最初のひとりになるのを恐れない – 自分で成功をつかむ
  • 平坦な道のりではなく紆余曲折があった
  • 「最初のひとり」になった経験
  • 思い切って飛び込めば、見えてくる
  • 経験から学び未来の糧にする
  • どんなに困難な状況でも喜びを見つけられる

プレゼンターの略歴

ユミの両親は長崎と福岡の出身です。親戚がいる長崎県佐世保市で、彼女はたびたび夏休みを過ごしました。カリフォルニア大学バークレー校を卒業(修辞学・東アジア研究専攻)、九州大学でも福岡県研究フェローとして法律・政治学を学びました。現在は、電子手帳や会計ソフトに似た一般向け財務管理に特化したフィンテック企業、Quicken, Inc.の統合財務サービス担当バイスプレジデントを務めています。Capital One、Adobe、Intuit、eBay、PayPal、Visaおよび数々のスタートアップをはじめ、シリコンバレーと日本でテクノロジー・金融サービス分野の事業を立ち上げてきました。 現在は、日本の中小企業向けクラウド会計ソフトfreeeの社外取締役を務めています。 

その活躍から、2019年にはフォーチュン誌の「日本のセルフメードウーマン100人」に選ばれ、2018年にはサンフランシスコビジネスタイムズ誌から「ビジネス界で最も影響力ある女性」に選ばれました。 

ユウカ・メラ

“多様性と包摂性、すべての人へのおもてなし”

新二世のユウカ・メラが、帰国者として子どもの頃に苦労したエピソードを通じて、日本社会が多様性を受け入れる必要性を訴えます。角を立てず安定を重視する日本の姿勢が、時に多様性を促す上でマイナスに働くおそれもあると説明します。再び産業界のリーダーに返り咲くために、現代のグローバル化を踏まえて日本がどうすればもっと多様性を取り入れられるか、ユウカ・メラが解き明かします。

プレゼンテーションの概要とハイライト

  1. 自己紹介と背景
  • 家族の歴史 
  • 日米の小中学校に通う 
  • 日米の企業でキャリアを積む 
  1. 日本に馴染み受け入れてもらうのがむずかしい理由
  • 自身が体験した問題 
    • 子ども時代の学校での経験 – 日本では「異分子」と見られた
    • 企業文化の問題
  • 日本独自の習慣や伝統
    • 日本の結婚式
    • 日本の「ハンコ」制度 
  1. 日本における多様性と包摂性の推進 – なぜそれが重要なのか

  • ラグビー日本代表チーム 
  • すべての人への「おもてなし」
  • 日本人であることの意味を捉えなおす
  • 多様性と包摂性を促すメリット

プレゼンターの略歴 

ユウカ・メラは日系一世の両親のもと米国で生まれました。日米両国の公立校に通い、マサチューセッツ州の大学で学びました。マイクロ波フィルタ設計で修士号を取得後、米国と日本の企業に勤務。国際ビジネスと技術開発の分野で25年以上の経験があります。3M オプティカル・システムズ部門でサイトテクニカルディレクター兼グローバルテクニカルフィルムスペシャリストを務めたのち、Synapticsのグローバルデザインセンターでシニアディレクターに就任しました。Synapticsでは、大型タッチスクリーンの開発とともに、タッチIC市場に革命を起こした初のタッチ連携ディスプレイドライバICの発売に貢献しました。 

米国、韓国、台湾、中国での幅広い経験を生かして、現在はコンサルタントとして、海外の企業の日本およびアジアでのビジネス展開をサポートしています。

リン・レティン

“揺らぐアイデンティティ”

リン・レティンは、アラスカと沖縄で生まれ育ちました。母は沖縄出身、父は白人系米国人です。交錯するアイデンティティを抱えたリンは、自分探しの旅を続けています。どの人種とも言い切れない容姿のせいで、子どもの頃から人とちがう扱いを受け、セクシャリティやジェンダーが原因でなかなか支援も受けられませんでした。アイデンティティの狭間で成長したリンの体験談は、個性や自己の発見をめぐる重要なテーマを提起します。リンは、様々なエピソードを披露するとともに、「テレビタレントには、なぜトランスジェンダー男性よりトランスジェンダー女性が多いのか?」といった興味深い疑問を探ります。日米両国でのセクシャルマイノリティに関わる体験や、多様な背景とアイデンティティを持つすべての人が安全に暮らせる場を作るための取り組みに、耳を傾けましょう。

プレゼンテーションの概要とハイライト

  1. 「人とちがう」ということ
  • レッテルとともに育つ – アラスカでは「日本の子」、沖縄では「ハーフの子」
  • カミングアウトと周囲の反応
  1. コミュニティを見つけることが大切
  • アラスカでの大学時代、キャンパス内外で出会ったコミュニティが心の支えに
  • 目標を見直し、留学先の北海道でコミュニティを探す
  1. 日本でセクシャルマイノリティであること
  • 日本の地方都市で働くなかで、保守的な隠されたマイノリティ文化を体験
  • 出会いを求めて地方社会の外に目を向ける
  • 地方社会でのカミングアウト
  • 性別適合手術のための医療界のゲートキーパー機能 
  1. ちがうことは 強み 何ができるか?
  • 「カミングアウト」とは?  カミングアウトする人を、どう支えるか? LGBTとしての生活に日米でどんなちがいがあるか?

プレゼンターの略歴

米国人の父と沖縄出身の母を持つリンは、アラスカ州アンカレッジで生まれました。22歳までは日米両国の国籍を持っていました。現在はハワイのニウ・バレー中学校で日本語教師として働き、中学生に日本語を教えています。2011~2016年までJETプログラムに参加後、ハワイ大学マノア校で学び、日本語学修士号を取得(社会言語学専攻)。日本語だけでなく、日本と沖縄の文化についても生徒に教えています。趣味はスノーボード、弓道、ミニチュアシュナウザーの愛犬オットーと過ごすこと。

ジム・ミナモト
“不屈の精神――七転び八起き”

カリフォルニアの田舎町で生まれた日系二世の感動的なストーリーを、ジム・ミナモトが語ります。ジムの母は10代にして、普通の人が一生の間に経験する以上に多くの死と悲劇に見舞われました。広島で被爆者となっても、過去に縛られることはありませんでした。それどころか、質素で平凡な人生を果敢に生き抜いたのです。静かな不屈の精神に支えられた一生でした。たとえ7回転んでも8回立ち上がったのです。 

プレゼンテーションの概要とハイライト

  1. 1母国での悲劇家族の死
  • 1930年代、大恐慌の米国で育つ
  • 白人以外を対象とする人種別学校に通う
  • 近しい家族の早すぎる死
  • 家を追われて、外国の日本に移り住む
  1. 2: 海外での悲劇米国製の爆弾に殺されたアメリカ人
  • 戦時下の日本で「敵国人」として暮らす
  • 学徒勤労動員を命じられる
  • 1945年8月6日の恐怖を目撃
  • 再び死に見舞われる
  1. 3再び母国にて不屈の精神
  • 日本に別れを告げて
  • ニューヨークで一人暮らしを開始
  • 運が向いてきた
  • 「天国にいるみたい」
  • 折れない心を育てるには

プレゼンター略歴 

ジム・ミナモトはニューヨークで生まれ育った日系三世です。一世の祖父母は1900年代初めに米国に移住しました。日本の小学校しか出ていない祖父母は、勤勉さを武器に南カリフォルニアで小作農家を営みはじめました。しかし第二次大戦中にアーカンソー州ローワーの収容所に収監され、すべてを失いました。ジムは、ロースクールを卒業してニューヨークで数年働いた後、日本に居を移し、東京の法律事務所で企業法務弁護士を務めました。  

25年以上日本に在住、2012年より米日カウンシルメンバー。

リン・ミヤヒラ

“2つの世界:国内外での文化交流”

四世のリン・ミヤヒラは、様々なコミュニティで暮らすなかで自分の文化的アイデンティティを意識してきました。ハワイでは「沖縄出身の日系人」、米国本土では「アジア系」、日本に来れば「日系アメリカ人」です。けれど、同じ日系アメリカ人でも対照的な両親のライフスタイルを紹介することで、リンは、文化的アイデンティティが同じであっても全く違う育ち方をすることもあると教えてくれます。ハワイ、オレゴン、日本での体験を経て、リンがアイデンティティという魅力的な概念や、文化交流を推進するために自分のアイデンティティを知ることの大切さをどう捉えているか、学びましょう。

プレゼンテーションの概要とハイライト

  1. 同じ日系アメリカ人でも、全く異なる生活
  • リンの父(沖縄からの移民の子孫)はマウイ島のサトウキビ農園で育つ、母(強制収容経験者の子孫)は白人が多いイリノイ州シカゴで育つ
  • 米国本土とハワイの日系アメリカ人 – 文化も歴史も全く異なる
  • 多文化コミュニティが根づくハワイで育ち、ハワイ風にアレンジされた沖縄文化に触れる
  1. 米国本土へ白人コミュニティのオレゴンでの暮らし
  • 「日系」ではなく「アジア系」
  • 伝統を学びたいという思いを強くする
  1. 本物の伝統を学ぶため沖縄で働く
  • 職場での振る舞い方や文化のちがい – 日本人の働き方に馴染むのに苦労する
  • 自分ならではのアイデンティティや考え方を受け入れる

プレゼンターの略歴

リン・ミヤヒラはハワイで生まれ育った四世、祖先のルーツは沖縄と伊豆大島です。現在は、統合型コミュニケーションおよびマーケティング会社iQ 360のアカウントディレクターとして顧客関係の管理に携わり、広報、ビジネスコンサルティングサービス、統合型マーケティングキャンペーンを手がけています。2020年には、ハワイ沖縄連合会会長を務めました。この連合会は4万人のメンバーから成り、ハワイでの沖縄文化の推進、普及、保存を使命としています。 

ウィラメット大学で政治学学士号、ハワイ大学マノア校シャイドラービジネスカレッジでMBAを取得。米日カウンシルの2014年新生リーダープログラムのメンバー、2019年にハワイで開催されたU40サミットの共同議長も務めました。

実施大学

JASPは、下記の全国の大学で日系アメリカ人ストーリーテリング・プレゼンテーションを実施する機会に恵まれました。

国際教養大学

青山学院大学

亜細亜大学

中央大学

同志社大学

学習院女子大学

群馬大学

広島女学院高校

広島女学院大学

一橋大学

国際基督教大学

順天堂大学

関西外国語大学

敬愛大学

慶應大学

神戸女学院大学

神戸大学

京都大学

明治大学

武蔵野大学

大阪府立大学

立教大学

立命館大学

成城大学

静岡大学

昭和女子大学

上智大学

テンプル大学ジャパンキャンパス

東京学芸大学

東京工業大学

東京外国語大学

東洋大学

津田塾大学

琉球大学

東京大学

早稲田大学

JASPのプレゼンターは、以下を含む幅広い学科の学生とリアルタイムで交流しています。

  • 異文化コミュニケーション
  • ジェンダー・人権
  • 対立解決とクリエイティブ・ディスカッション
  • 人文科学・社会科学
  • 国際英語学
  • 多文化ソーシャルワーク
  • 海外移民と日系人
  • 日米外交関係
  • 日本移民史
  • アメリカ文化史
  • 現代アメリカ政治社会学
  • 米国のマイノリティと法律
  • 特別イベント(全学対象)

クラスの規模は、10人の少人数セミナーから100人以上が参加する大規模なものまで様々です。

参加者の声

JASPは、学生たちの多様性の理解やグローバルな思考を養おうと努めるだけでなく、日系アメリカ人の方々に、自分と先祖の歴史やアイデンティティを振り返る機会も提供しています。 

プログラム参加者の声を、いくつかここにご紹介します。

日本で育った学生にとって、日系アメリカ人とは、近いようで遠い存在だと思います。例えば授業で第二次世界大戦中の強制収容の話を聴くことがあっても、実際に祖父母が収容された方のpersonal story を聴く機会は少ないと思われます。また、日本では、日系アメリカ人の古い歴史研究は多くあるのですが、現在まさに生きている日系アメリカ人がどういう方たちか、生に接する機会は意外と少ないのではないでしょうか。米日カウンシルの Japanese American Story Telling Program は、日本に住むプロフェッショナルな日系アメリカ人のネットワークを活かして、そのような日系アメリカ人をめぐる歴史・社会・現状をパーソナルなレベルで知ることができる絶好な機会だと思います。皆さんも是非このプログラムに参加して、日系アメリカ人のありのままの姿を学んで下さい。

武田 興欣
青山学院大学
国際政治経済学部国際政治学科 教授

国際英語学科GSEコースでは、戦争と平和の問題を意識せずにいられない広島という立地もあって、アイデンティティ、対立、差別などの話題をよく取り上げます。とはいえ、ストーリーの力を通じて、さらには不屈の精神といった大切な前向きな考え方に触れることで、学生たちは、授業で学んだ知識が、実際にそれを体験した人にとってどんな意味をもつかを考え、教室の中だけにとどまらない活発で有意義なディスカッションを行うことができました。


准教授ロバート・ドーマー
国際英語学科
広島女学院大学

「当事者だからお話しできるという内容だったので、推測のお話ではなく実体験を元にしたお話がとてもためになりました」

~受入れ校の教授

「学生だけでなく私自身にとっても、非常に勉強になるお話をうかがい有意義な交流を持つことができました」

~受入れ校の教授

「昨年、JASPプレゼンテーションの後、ハワイにルーツがあるという少なくとも2名の学生が、自身の家族の歴史を探索したいと言って来たのです。今まで祖父母などにそのような話をきいたことがなく、是非尋ねてみたいと話してくれました」

~受入れ校の教授

「日本の他の大学関係者に(JASPのことを)知らせたいと思います。本プログラムのスピーカーを招きたいという要望があればお知らせします」

~受入れ校の教授

JASPの一番の目的は、日本の大学に通う学生に自信と国際的な視点を身につけてもらうことです。私の役割は、プレゼンターが教室に出向いてストーリーを語り、学生との交流の場を作る準備ができるようお手伝いすることです。ストーリーテリングは、太古の昔から受け継がれてきた技術です。 私たちは、クラスを分割して「ミニディスカッション」を行い、国際的な視点とは何か、どうすれば日本と世界の架け橋になれるかを学生たちに考えてもらっています。

パトリック・ニュウエル
JASP ストーリーテリングコーチ
大学院大学至善館
TEDx Tokyo共同創設者

米日カウンシルの大切な目的の一つは、日本とアメリカの関係性を人と人との関わりによってより強固にすることです。日系アメリカ人のもつ文化と国籍から、彼らが重要な役割を担うことが期待されます。安全保障や経済の戦略的な同盟に加え、人と人との絆によって日米関係をより強化しようと、米日カウンシルは設立されました。米日カウンシルの評議員会会長でありJASPスピーカーの1人として、日本の大学で教えていらっしゃる先生方にJAストーリーテリングプログラムの機会を持つことをおすすめいたします。

アーネスト・エム・比嘉
株式会社 ヒガ・インダストリーズ
代表取締役会長兼社長

若者は私たちの未来を担います。JASPは、国や言語、文化を越えて日系アメリカ人の体験を日本に伝えるための米日カウンシルの重要なプログラムです。ここで紹介するJASPのストーリーは、これから独り立ちして複雑化したグローバル社会へと足を踏み出す日本の大学生のために語られるものです。いずれも、困難や苦労を乗り越えた家族や個人の実体験に基づくストーリーです。私自身もプレゼンターとして、過去を振り返り、学び、人として成長するという、人生を大きく変えるような経験ができました。

スティーブ・ケンジ・スギノ
JASP スピーカー/プログラム共同リーダー
株式会社アムジェン 代表取締役社長

「私は、これまで何度かつらい経験をしてきました。後悔もあるし、過ちも犯しています。でもプレゼンターのお話を聞いて、失敗を恐れずそれを糧にすることの大切さを学びました」

「大変興味深いお話をありがとうございます。お話をうかがって、私も海外で暮らし多様性を体験して視野を広げたいと思いました。残念ながら、プレゼンテーションの場では発言できませんでした。参加者の皆さんの英語がとても堪能で、私の下手な英語を披露するのが恥ずかしかったからです。けれど、今回の経験を通してもっと英語を学びたいという思いを強くしました。いつか、英語で堂々と意見を発表できるようになりたいです」

「 プレゼンターの話し方がよかったです。ストーリーのメッセージが伝わってきます。私の人生にも思い当たる部分があると思い、とても心に響きました。自分にだけ違った接し方をされると、どんな気持ちになるか、私にもわかります。[何かを]あきらめようと思ったとき、人生はいつも晴れの日ばかりではなく、雨の日もあることを思い出しました。とにかく前に進み、ベストを尽くします。このセミナーを受けてやる気が出ました。私もプレゼンターのお母さんのように強くなって …どんな困難も乗り越えたいです」

「話を聞いて一番感じたことは、先生(プレゼンター)の人生は行動力のたまものであるということです。講義に臨むまでは、会社の代表取締役であったり、名だたる人と友人であったりと 、自分とは違うすごい人なのだろうなとイメージしていました。しかし、先生の学生時代や日本での苦悩を知り、私と同じように悩んでいたことに驚いたことと同時に、私の未来にもそんなことが起こるかもしれないと気持ちが高揚しました。一方、今の私と圧倒的に異なることもあるとも痛感しました。それは、壁にぶつかったときに一歩足を踏み出す力と行動力です」

「お話を聞いて、海外で暮らして、多様な価値観や視野を広げる経験をしたいと強く思うようになりました。そのために英語をもっと勉強しなければと刺激を受けました。将来は、自信をもって自分の考えを英語で表現できるようになりたいです」

「行動するときにいるはずもない誰かの評価を気にして動いてしまうことが多かったのですが、誰かに迷惑をかけない限り何にでも積極的に行動して、後悔のない人生を送っていきたいと思います。確かに誰かの目は怖いものですが、その人に理解されなくても認めさせてしまうことをするくらいに一生懸命に生きていきたいと思います。みんなが人生の主人公と言いますが、それが思い描いていた主人公でない人は多いはずです。私は「もう、これでいいんじゃないか」と思って、自分自身を否定するのではなく、誰かに笑われてしまいそうな理想を持って、その理想や希望を自分で描いて手に入れられるように、自分の望んだ自分でいられるように生きていきたいと思います。きっとその理想は死ぬまで続くと思うので、私の映画か小説のタイトルは『主人公になりたい』というタイトルでいきたいと思います」

「人の人生はあまり聞いていても何かを得られることはないが、(プレゼンター)の人生の話はとても壮絶で色々考えることがありました。時代背景も厳しい中ではありましたが、いくつもの困難を超えて諦めず人生を生きていく姿はとても尊敬できるものでした。私も転んでも嫌なことがあっても七転び八起きしようと思いました」

「日系人という存在は少し遠い存在で日本人とは全く考え方が違う人だと思っていたが、実際には日本の価値観を共有する日本人らしさがあるというのは初めて知りました」

「私は社会学を勉強しています。今までは授業で、いわゆるハーフの人の苦しみやアイデンティティについて学んできました。動画を見たりネットで記事を読んだりしましたが、実際に話を聞いたのは初めてです。先生(プレゼンター)はご苦労も多かったと思いますが、今回のお話を通じて、様々なコミュニティに参加するなかでアイデンティティを築けるといった、別の側面も知ることができてよかったです。貴重な体験をお話いただき、ありがとうございました」

JASP ニュース

USJC Newsletter January 14, 2021

2021年12月21日

2021年12月18日、米日カウンシルの「日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラム(JASP)」がテレビのニュースで取り上げられました。JASPプレゼンターにしてプログラム共同リーダーであるスティーブ・スギノが群馬大学で行ったプレゼンテーションを、地元メディア が報じました。

日本人大学生と留学生を対象とした「あなたの人生の映画」と題したプレゼンテーションは、南カリフォルニアで日系三世として生まれたスティーブが、日本へ留学し、さらには東京銀行初の米国籍の「国際トレーニー」として働くという人生を変える決断を下すにいたった歩みを、公私含めて振り返ったものです。彼はニューヨークの金融業界でキャリアを積んだのち、ヘルスケア部門に軸足を移し、現在は大手バイオテクノロジー企業の日本法人を率いています。 

スティーブのプレゼンテーションは、多様性が広がる環境で日本企業のグローバル化が進むなか、学生が直面する新たな課題をめぐる洞察を示すものでした。このプレゼンテーションは、2020年秋のプログラム発足以来、JASPのプレゼンターが日本の大学生を対象に実施してきた50回以上のライブ・プレゼンテーションのひとつです。

日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラム(JASP) は、米日カウンシルのメンバーが日本の若者に前向きな教育的メッセージを伝えるためのプログラムです。移民に対する受容と共感、差別と偏見の克服、社会の多様性の力、そして日米間の架け橋となる役割といった前向きなメッセージが、プレゼンター自身の家族の歴史を通して語られます。

2022年2月28日

2020年秋に発足した米日カウンシルの「日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラム(JASP)」は、初めて通年で運営された2021年、国内の大学を対象として50回のプレゼンテーションを成功させました。初年の8回に比べて、実施回数が大きく増えました。

期待された通り、JASPは対象地域を広げ、首都圏の10校に加えて、沖縄、広島、京都、神戸、大阪、静岡、群馬の大学生にプレゼンテーションを実施しました。

プレゼンターの多様化にも取り組み、従来の三世や四世だけでなく、ハワイや米国本土、さらには日本に住む新一世、新二世、他民族の家系を併せ持つ日系人によるストーリーテリングも行いました。 

プレゼンテーションのテーマは、不屈の精神、日米間の架け橋を築く、視野を広げコンフォートゾーンから飛び出す、       起業家精神と夢の追求、文化的アイデンティティを見つける、女性のエンパワーメント、実の親との再会、カミングアウト、多様性・公平・包摂のビジネスにおける強みなどです。

ある学生は、明確なテーマを持つJASPのストーリーテリングを、心に残る前向きなメッセージを伝える方法として高く評価し、こんなコメントを寄せてくれました。「ストーリーのメッセージが伝わってきます……自分にだけ違った接し方をされると、どんな気持ちになるか、私にもわかります。[何かを]あきらめようと思ったとき、人生はいつも晴れの日ばかりではなく、雨の日もあることを思い出しました。とにかく前に進み、ベストを尽くします。セミナーを受けてやる気が出ました」

プレゼンテーションのあらゆる段階で、学生が積極的に参加することがこのプログラムの特徴です。受入れ校のある教授は、次のように語りました。「ストーリーの力を通じて、さらには不屈の精神といった前向きな考え方に触れることで、学生たちは、授業で学んだ知識が、実際にそれを体験した人にとってどんな意味をもつかを考え、教室の中だけにとどまらない活発で有意義なディスカッションを行うことができました」

JASPは2022年も引き続きプログラムを拡大し、東北や熊本など新たな地域でプレゼンテーションを実施する予定です。

日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラム(JASP) は、米日カウンシルのメンバーが日本の若者に前向きな教育的メッセージを伝えるためのプログラムです。移民に対する受容と共感、差別と偏見の克服、社会の多様性の力、そして日米間の架け橋となる役割といった前向きなメッセージが、プレゼンター自身の家族の歴史を通して語られます。

プログラムに関するFAQs

日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラム(JASP)は、米日カウンシルが実施する非営利の教育プログラムです。

JASPは、ストーリーテリングという手法を通じて、日本の未来のリーダーとなる大学生に前向きなメッセージを伝えることを目指しています。重要な点として、JASPのプレゼンテーションは日系アメリカ人の歴史を扱った一般的な講演ではありません。プレゼンターとその先祖がたどった歩みを追った、きわめて個人的なストーリーであることが、このプログラムの最大の特徴です。だからこそ、プレゼンテーションが心に響く忘れられないものになり、強い印象を残すのです。

次のトピックについて、プレゼンターが自身の唯一無二のストーリーを語ります。

  • 21世紀に「日本人」であることの意味を問い直す
  • 受容、共感、ちがいの尊重
  • 日系人と移民
  • 不屈の精神(七転び八起き)
  • 日米間の架け橋を築く
  • 視野を広げコンフォートゾーンから飛び出す体験
  • 起業家精神と夢を追い求めること
  • 自分の文化的アイデンティティを見つける
  • 女性のエンパワーメント
  • ハワイの日系アメリカ人の歴史
  • ヘリテージが土台になり、翼をくれる
  • どこにも属さない私の旅、自分を受け入れること
  • あなたの人生の映画
  • カミングアウト
  • 戦時中の日系アメリカ人の経験
  • 多様性、公平、包摂のビジネスにおける強み

広い意味で日系アメリカ人と呼ばれる、米日カウンシルの多様なメンバーがプレゼンターを務めます。これには、日系三世、四世、他民族の家系を併せ持つ日系人、新一世(戦後米国に移民した人)、新二世(新一世の米国生まれの子ども)、米国から戻った日本人帰国者(帰国子女)が含まれます。次世代を担う若手リーダーやシニアエグゼクティブ、民間企業に勤める人や非営利団体に所属する人など様々です。

ほとんどのプレゼンターは日本在住ですが、ハワイ、カリフォルニア、それ以外の米国本土に居住する人もいます。多くが英語ネイティブですが、日本語も話せるバイリンガルもいます。

ほぼすべてのプレゼンテーションでは、スライドを含め英語が第一言語として使用されます。ただし、プレゼンターのなかには必要に応じて時々日本語で説明を行える人もいます。数人ですが、ほぼ日本語で口頭のプレゼンテーションを行える人もいます。受入れ校のクラスそれぞれに適したプレゼンターを紹介できるよう充分な配慮をしており、基本的には学生の英語力や一般的な学力が大きな問題になることはありません。プロの通訳を介しても、JASPのストーリーテリングの場合、必ずしも効果的でないことも分かっています。

JASPは、春期(4~7月)と秋期(9~1月)にプレゼンテーションを実施しています。担当教授のご要望に合わせスケジュール調整を行い、春期と秋期いずれか、もしくは両方にプレゼンターを派遣します。

すべてライブで実施されます。プログラムの特徴のひとつは、クイズ、投票・アンケート、ブレイクアウト・ルーム、昔ながらの質疑応答といった方法を使って、学生とプレゼンターがプレゼンテーションの際中にリアルタイムで直接やりとりできることです。ディスカッションと質疑応答を含めたプレゼンテーション全体の所要時間は、一般的には80~90分です。

そうです! 現在、ほぼすべてのプレゼンテーションは、Zoomなどのオンライン会議システムを使ってバーチャルで実施されています。そのため、日本全国の大学の学生にリアルタイムでプレゼンテーションを行えます。たとえばこれまでに、東京だけでなく沖縄、広島、山口、京都、神戸、大阪、静岡、秋田の学生にZoomでプレゼンテーションを実施しました。全都道府県の大学からのご依頼を心より歓迎いたします。

基本的には、学期が始まる2カ月前までには実施の可否をお伝えします。さらに、学期が始まる約1カ月前には、各クラスに紹介するプレゼンターの詳細を受入れ校の先生にお知らせするようにしています。たとえば、4月に春学期が始まる場合は39月に秋学期が始まる場合は8となります。

春学期(4~7月)中にご依頼があった場合、プレゼンターを派遣できるのは基本的には最短でその年の秋学期(9~1月)となる点に、ご注意ください。

Zoomを使ってバーチャルで実施する場合、録画の許可をお願いすることがあります。その場合、プライバシー保護のため学生の氏名と顔はすべて編集で削除します。同様に学生の皆さまも、プレゼンターの個人情報を尊重してくださるようお願いします。

いいえ。JASP のプレゼンテーションに料金はかかりません。ただし、大学キャンパスまである程度の距離を移動する場合、個々のプレゼンターの判断で交通費をいただくことがあります。

日本国内の大学でクラスを指導されている先生であれば、プレゼンターの受入れに関するお問い合わせを歓迎いたします。ご自身およびクラスの詳細を以下からお送りいただければ、折り返しご連絡させていただきます。

ご参加ください!

日本国内の大学の先生方

JASPプログラムへの参加、およびプレゼンターの受入れに関するご依頼を、心より歓迎いたします。こちらから、ご自身とクラスについて詳しくお知らせください。

詳細をお知らせいただいた後、こちらからご連絡いたします。ご依頼の状況やプレゼンターの都合にもよりますが、できる限り多くのご依頼に応えられるよう努めてまいります。

USJC メンバーの皆さま

日系アメリカ人として伝えたいストーリーがある方は、プレゼンター(JASPer)としてご参加ください。ご自身の経歴などを、こちら からお知らせください。

JASPersには、三世、四世、五世だけでなく、新一世(戦後米国に移民した人)や新二世(新一世の米国生まれの子ども)、他民族の家系を併せ持つ日系人も参加しています。要は、米日カウンシルのメンバーで、日系人として伝えたいストーリーがある人であればいいのです。

詳細をお知らせいただいた後、こちらからご連絡いたします。まだ米日カウンシルのメンバーではない場合、JASPerへの申請と平行して会員登録を手続きすることができます。日本とハワイに在住のメンバーだけでなく、米国本土在住のメンバーもこのプログラムに参加できます。現在、すべてのプレゼンテーションは、Zoomなどのオンラインツールを利用して、日本標準時(午前9時から午後6時など)に合わせてライブで実施しています。

米日カウンシルのプライバシーポリシーについて、詳しくはこちらをご覧ください。

JASPにご興味をお持ちいただき、ありがとうございます。

日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラムの当ウェブページは、国際交流基金の助成を受けて作成しました。