日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラム

概要

日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラム (JASP)は、日系三世、四世、五世(日系アメリカ人の多世代)、新一世、新二世(第二次世界大戦後に移住した日系アメリカ人の世代)、日系二世、日系人など、基本的に「日系人」であることを自認し、日系人のストーリーを語ることのできる人々で構成されています。 日本、ハワイ、カリフォルニア、ニューヨーク、その他アメリカ本土に在住する、英語か日本語のネイティブやバイリンガル・スピーカーが含まれます。JASPは、受入れ校の教授の依頼を受けて、日本全国の大学生に英語または日本語でプレゼンテーションを実施しています。

JASPのプレゼンテーションはストーリーテリングの手法を採用しており、プレゼンテーションを通して学生が積極的に議論に参加する多くの機会が設けられています。ストーリーは、プレゼンター自身が歩んだ歴史そのものであり、どれも唯一無二のストーリーです。JASP は、より良い未来の創造に向けて過去と現在をつなぐことによって、日米関係の強化を目指しています。JASPは、感動的なストーリーを通じて、日本の大学生にグローバルな視点を身につけてもらうことが重要であると考えています。

目的と使命

JASP の目的: 日本の大学教授と協力して、大学生の多様性を理解するグローバルな思考を養います。

JASP の使命:日本の大学に通う学生に直接に語りかけ、活発な議論を通じて、“日系”の一市民や家族の感動的なストーリーを共有します。

ストーリー

学習院女子大学(東京)で講師を務めていた大出隆氏のクラスで、米日カウンシルのメンバーで日系アメリカ人のスタン・コヤナギ氏が家族の歴史と自身のキャリアの軌跡を語ったところ、学生に大変好評で、これをきっかけにJASPの活動が開始されました。

日本の若者の多くは世界に触れる経験や、国際的な考え方を身につける機会が限られており、これが日本の未来に影響を及ぼすおそれもあることから、国際的な視点を育て日米関係を強化するために、JASPは2020年秋に試験的にストーリーテリング・プログラムを立ち上げました。その後2022年度には、日本各地の大学で60回のプレゼンテーションが実施されました。新たな地域でさらに多くの学生にプレゼンテーションに参加してもらうため、プログラムの拡充を目指しています。

日系アメリカ人ストーリーテリングのテーマ

JASP のプレゼンターの多様性を反映して、プレゼンテーションでは次のようなテーマを取り扱っています。

  • まだ知らない世界へ踏み出す少しの勇気
  • 21世紀で日本人であるということ
  • 日米間の架け橋を築く
  • “利用されていない道”を歩く挑戦
  • 日本でのキャリアの成功のために革新的な精神を発展させましょう
  • 自分の文化的アイデンティティを見つける
  • 視野を広げコンフォートゾーンから飛び出す体験
  • 起業家精神と夢を追い求めること
  • 私たちの力を利用すること
  • 自分のために生きることが最高な親孝行
  • どこにも属さない私の旅、自分を受け入れること
  • ヘリテージが土台になり、翼をくれる
  • 不屈の精神(七転び八起き)
  • 多様性、公平、包摂のビジネスにおける強み
  • ハワイの日系アメリカ人の歴史
  • 日系人と移民
  • あなたの人生の映画
  • 受容、共感、ちがいの尊重
  • 戦時中の日系アメリカ人の経験
  • 女性のエンパワーメント
  • 日系アメリカ人一世と二世のアイデンティティにおける社会的背景の影響
  • あなたの鼓動は?
  • あなたは運転手ですか、それとも同乗者ですか?

今後もプログラムを拡充し、新たなタイトルをストーリーテリングのテーマに加えていく予定です。

プレゼンター

テーマの多様性と同様に、JASPのプレゼンターには次世代を担う若手リーダーやシニアエグゼクティブ、日系三世、四世、新一世、新二世、他民族の家系を併せ持つ日系人など多様な人々が含まれ、民間企業の人もいれば非営利団体の人もいます。居住地も東京、沖縄、ハワイ、米国本土と多岐にわたります。

プレゼンターの一部を、ここに紹介します。

田島桃子(福岡)– 日系アメリカ人一世と二世のアイデンティティにおける社会的背景の影響(英語)

スティーブ・スギノ(東京)– そこへ、そして再び(英語)

Atsuko Jenks(カリフォルニア)– Appreciating and Respecting Differences Among Us(英語)

ブランドン・マーク・ヒガ(ハワイ)–日系アメリカ人であることに意味を探す:二つの街の物語(英語)

クリストファー・ラドゲート(東京)–どこにでもあって、どこにもない ~第3文化からの物語~(英語)

ネイト・ギョウトク (ハワイ)– 元年者の遺産:日本からの最初の移民(英語)

ケリー・ヌイべ(東京)– ロックから:ハワイのコンフォートゾーンを超えて(英語)

ジョージ・ミラー(東京)– 違いに感謝して(英語)

カオル・ウタダ(東京)– 新二世のレンズから見た越境文化とコミュニケーション(英語)

ラッセル・サイトウ(東京)– 日本でのキャリアの成功のために革新的な精神を発展させましょう(英語)

クミコ・ヒダカ(東京)– 21世紀で日本人であるということ(英語)

マオ・トリヴァー(ミシガン) – 文化的なアイデンティティを探して(英語)

スティーヴ・サカナシ(東京) – 故郷を離れた99年間、外国人としての精神(英語)

キャムリン・スギタ(カリフォルニア) – あなたをみつけて、あなたの目標を見つけて(英語)

アラン・ワタナベ(東京) – 多様性と包括性のビジネスにおける利点(英語)

長嶺安奈(沖縄) – 未来のリーダーたちへ:属性のないものとしての自身を受け入れる旅(英語)

テッド・カタギ(東京) – 一世の5世代(英語)

ロイ・トミザワ (東京) – 天皇陛下に称えられ、米海軍に勤務 ~20世紀初頭に激動のアメリカを生き抜いた日系一世の記録~ (英語)

ユミ・クラーク (米国本土) – 勇気ある旅、負けない心、生きる喜び(日本語)

ユウカ・メラ (東京) – 多様性と包摂性、すべての人へのおもてなし(英語)

リン・レティン (ハワイ) – 揺らぐアイデンティティ(英語)

ジム・ミナモト (東京) – 不屈の精神 ~七転びハ起き~ (英語)

リン・ミヤヒラ (ハワイ) – 2つの世界:国内外での文化交流(英語)

実施大学

JASPは、下記を含む全国の45校以上の大学で日系アメリカ人ストーリーテリング・プレゼンテーションを実施する機会に恵まれました。

国際教養大学

青山学院大学

亜細亜大学

中央大学

同志社大学

福岡大学

学習院女子大学

群馬大学

広島女学院高校

広島女学院大学

一橋大学

国際基督教大学

順天堂大学

関西外国語大学

関西国際大学

敬愛大学

慶應大学

神戸女学院大学

神戸大学

熊本大学

杏林大学

京都大学

明治大学

武蔵野大学

武蔵野美術大学

武蔵大学

日本大学文理学部

新潟青陵大学

大阪府立大学

立教大学

立命館大学

成城大学

静岡大学

昭和女子大学

上智大学

テンプル大学ジャパンキャンパス

東北大学

東京学芸大学

東京工業大学

東京外国語大学

東洋学園大学

東洋大学

津田塾大学

筑波大学

筑波技術大学

琉球大学

東京大学

早稲田大学

JASPのプレゼンターは、以下を含む幅広い学科の学生とリアルタイムで交流しています。

  • ビジネスコミュニケーション
  • 対立解決とクリエイティブ・ディスカッション
  • 現代アメリカ政治社会学
  • ジェンダー・人権
  • 国際英語学
  • 日本移民史
  • 人文科学・社会科学
  • 異文化コミュニケーション
  • 海外移民と日系人
  • 米国のマイノリティと法律
  • 日本近代史 多文化ソーシャルワーク
  • アメリカ文化史
  • グローバル化の社会学
  • 日米外交関係
  • 特別イベント(全学対象)

クラスの規模は、10人の少人数セミナーから100人以上が参加する大規模なものまで様々です。

参加者の声

JASPは、学生たちの多様性の理解やグローバルな思考を養おうと努めるだけでなく、日系アメリカ人の方々に、自分と先祖の歴史やアイデンティティを振り返る機会も提供しています。 

プログラム参加者の声を、いくつかここにご紹介します。

受入れ校の教授

JASP ストーリーテリング・コーチ

JASP プレゼンター

プログラム共同リーダー/JASP プレゼンター

学生の声

JASP ニュース

(2024年9月) Strengthening the JASP Community: Furikaeri Reflections & Networking Event

(2024年2月) JASPer ネイト・ギョトクさん、マウイ島の若い被災者を支援

(2024年1月) 2023年でのJASPの活動

(2023年7月) TOMODACHI Next Generation Summit

(2023年6月) JASPer タイラー・プゲダさん 筑波技術大学での初プレゼンテーション

(2023年2月) 2022年でのJASPの活動

(2022年10月) JASPがUSJC アニュアル・カンファレンスでフィーチャされました

(2022年8月)USJC x JACL: “The Power of Words”イベント

(2022年8月)JASPが2022年春学期に31回のプレゼンテーションを実施

(2022年7月)TOMODACHI MUFG国際交流プログラム

(2022年6月)異文化ストーリーテリングのパワー – コロナ禍でつかんだ希望

(2022年2月)立ち上げの翌年となる2021年、JASPが50回のプレゼンテーションを実施

(2022年2月)広島女学院大学 – U.S.-Japan Council Storytelling Event〜
日系アメリカ人と移民について学びました

(2021年12月)スティーブ・スギノのプレゼンテーションが、テレビのニュースで取り上げられました

(2021年1月)USJC: JASPがストーリーテリングプレゼンテーションを開始

プログラムに関するFAQs

日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラム(JASP)は、米日カウンシルが実施する非営利の教育プログラムです。

JASPは、ストーリーテリングという手法を通じて、日本の未来のリーダーとなる大学生に前向きなメッセージを伝えることを目指しています。重要な点として、JASPのプレゼンテーションは日系アメリカ人の歴史を扱った一般的な講演ではありません。プレゼンターとその先祖がたどった歩みを追った、きわめて個人的なストーリーであることが、このプログラムの最大の特徴です。だからこそ、プレゼンテーションが心に響く忘れられないものになり、強い印象を残すのです。

Q-1: JASP プレゼンテーションのテーマとして、具体的にどんなものがありますか?

Q-2: どんな人が、JASP プレゼンターを務めるのですか?

Q-3: 参加する学生には、どの程度の語学力や学力が必要ですか?

Q-4: JASPのプレゼンテーションは、いつ実施されるのですか?

Q-5: JASP のプレゼンテーションは、どんな形で実施されるのですか? ライブですか、それとも録画ですか?

Q-6: JASPのライブ・プレゼンテーションは、どこで実施されますか? 国内ですか?

Q-7: 私のクラスでプレゼンテーションをやってもらえるかどうか、いつ分かりますか?

Q-8: JASPのライブ・プレゼンテーションは録画されますか? 学生のプライバシーは守られますか?

Q-9: 講演料などの料金はかかりますか?

Q-10: 誰でも申し込めますか?

ご参加ください!

日本国内の大学の先生方

JASPプログラムへの参加、およびプレゼンターの受入れに関するご依頼を、心より歓迎いたします。こちらから、ご自身とクラスについて詳しくお知らせください。

詳細をお知らせいただいた後、こちらからご連絡いたします。ご依頼の状況やプレゼンターの都合にもよりますが、できる限り多くのご依頼に応えられるよう努めてまいります。

USJC メンバーの皆さま

「日系人」であることを認識している方として伝えたい”日系”のストーリーがあるUSJCメンバーの方は、プレゼンター(JASPer)としてご参加ください。ご自身の経歴などを、こちら からお知らせください。

JASPersには、三世、四世、五世だけでなく、新一世(戦後米国に移民した人)や新二世(新一世の米国生まれの子ども)、他民族の家系を併せ持つ日系人も参加しています。要は、米日カウンシルのメンバーで、日系人として伝えたいストーリーがある人であればいいのです。

詳細をお知らせいただいた後、こちらからご連絡いたします。まだ米日カウンシルのメンバーではない場合、JASPerへの申請と平行して会員登録を手続きすることができます。日本とハワイに在住のメンバーだけでなく、米国本土在住のメンバーもこのプログラムに参加できます。現在、すべてのプレゼンテーションは、Zoomなどのオンラインツールを利用して、日本標準時(午前9時から午後6時など)に合わせてライブで実施しています。

米日カウンシルのプライバシーポリシーについて、詳しくはこちらをご覧ください。

JASPにご興味をお持ちいただき、ありがとうございます。

日系アメリカ人ストーリーテリング・プログラムの当ウェブページは、国際交流基金の助成を受けて作成しました。